kameda

亀田誠治(音楽プロデューサー、ベーシスト、元『東京事変』のメンバー)のブログ「BEHIND THE MELODY ~FM KAMEDA」から、ベース&ヴォーカルやThe Policeについて語っている箇所を転載してみます。
このブログは、81.3 FM J-WAVEで放送された内容を文章化してあるみたいやね。


◆歌うベーシストについて

「歌うベーシスト」と聞いて、皆さんはどんなアーティストを思い出しますか?
海外だと、ポール・マッカートニー、スティングなどは筆頭ですね!
ラリー・グラハムのファンキー&セクシーなボーカルもいいね!
女性でも、古くはスージー・クアトロ、もうすぐ来日公演を行うミシェル・ンデゲオチェロ、グラミー受賞アーティストのエスペランサ・スポルディングなど。
たくさんいるじゃありませんか!

日本だと、ハイスタの難波章浩さん、THE BAWDIESのROY君、MONGOL800のキヨサクなどなど、
ロック、パンク系が多いのかな?
パンクっぽいのはハイスタの影響が大きいかも?

こうやって並べるとベース&ボーカル、いい感じじゃないですか!
一体、ベース&ボーカルの魅力はどこにあるのでしょうか!?

お答えしましょう!

ベースを弾きながら、メロディーを歌うことは大変難しいことです。
ベースは、音程楽器であるとともに、リズム楽器でもあります。
メロディーのリズムが、ベースラインのリズムと違う時、これはとっても難易度が高いんです。
ギタリストが、ギターソロを弾きながらメロディーを歌うようなものですよ!

僕もベースを弾きますが、歌のリズムと違った時の難しさといったら大変!
コーラスですら「ヒーヒー!」言いながらやっています。
時には、辞退することもあります。

とはいえ、ベース&ボーカルのカッコよさ!
まず、弾きながら歌うことはとても難しいので、必然的にシンプルなベースラインか、キャッチーなリフが生まれます。
また、この反対に、メロディーもシンプルになるので、誰もが口ずさめる、誰にでも愛される名曲を生み出すきっかけになることもあると思います。

また、ボーカルはバンドの中心!
お客さんはボーカルに目が行きます。
だから、ベース&ボーカルの場合は、当然ベースプレイにも目が行って、シンプルでもベースラインが印象的に耳に残ることになるでしょう。
相方のギタリストだって、自由に表現できることになります。
そう、ベース&ボーカルになることによって、バンドサウンドに広がりを得ることができるんです。
ポール・マッカートニーはその先駆者ですよね。


◆スティングの声について

ベースを弾いて歌う姿はもちろん、男として、かなりのイケメン!
俳優として映画にも出ちゃっているスティングは、歳を重ねてもかっこいい、スマートな存在ですね!
というわけで、今日は、そんなスティングを「あまり知らない人」にも、その魅力を、FMカメダがお伝えしたいと思います。

まずは、声です!。。。ボーカリストとしての魅力。
スティングが最初にその名を轟かせたのは、ご存知ポリス!
ポリスって3ピースバンド。
つまり3人しかいない中で、ボーカルを担当するスティングへ注目が集まるのは当然です。
でもね、スティングは、ただフロントマンだから注目されたわけではないんです。
ポイントは、その声!
その声に圧倒的な説得力があるんですね。
そして、その声を圧倒的な存在にするためには、秘密があるんです。
お答えしましょう。

あのね、
ポリスには音のスキマがあるんです。
行間!
それを大ヒット曲「見つめていたい」をサンプルに検証してみましょう。

The Police – Every Breath You Take

http://youtu.be/OMOGaugKpzs

ドラムのスチュワート・コープランドは、時おり、千手観音のようなプレイをみせますが、歌中のドラムは非常にシンプルですね。
グルーブのツボを押さえたプレイは、スティングの歌を支えていました。
スネアやキックも、音の長さが、ターンとか、バインバイン伸びない。
つまり、ドラムの音にすきまと行間があるの。

アンディー・サマーズのギターも、ディレイを使ってスキマのある空間を構築。
ポリスサウンドに広がりを与えていました。
ディストーションでギャーンと埋めたりしない。
ちゃんと行間があるんですね。

そしてスティングのベースは、とってもシンプル。
歌を支えるための、必要最低限のことしかやらないの。
後は、ブーンブーンって音をのばさない。
「たとえば見つめていたい」のベースラインも「ド・ド・ド・ド・」って感じ。
基本、音を短く切るスタッカートなんですね。
つまり、ベースラインにもスキマがあり、サウンドに行間が生まれるんです。

そんでもって、この行間はいったい何に向けられていたかというと、全てはスティングの「歌」なんですね。
ALL FOR SING! ALL FOR STING!

スティングの声には特徴があります。
ハスキーでセクシーな声。
この声が、スキマのあるサウンドのおかげで、隅々まで聴こえるでしょう。
つまり、ポリスは見た目は、3ピースバンドだけど、声という楽器を奏でる4ピースバンドとも言えたんですね。

スティングはポリス時代から、レゲエやワールドミュージックの要素を取り入れるなど、様々な音楽表現のトライをしてきました。
考えてみれば、レゲエだって行間たっぷりの音楽ですね。
この常に新しいことに挑戦する精神が、彼の存在を、より孤高なイメージに高めています!
でも、どんなサウンド作りの手法を用いても、結局スティングサウンドになってしまうのは、やっぱり、彼の「声」があるからです。
All for Voice! All for Sing!