この曲は、ディランが1967年にリリースしたアルバム『ジョン・ウェズリー・ハーディング』に収められている。
ジミヘンのカヴァーヴァージョンが有名だが、オリジナルのどことなく不穏な雰囲気も捨てがたい。
マイナーコード一つと、メジャーコード二つの合計三つのコードからなるシンプルな構成にもかかわらず、奥の深い曲である。
おれにとって、一生もんの曲の一つだ。
ここんとこ、自分の中に入っている一生もんの曲って何があるかいなと考えているところだ。
自分なりに自分の血になったと感じられる曲じゃないと、人様の前で歌っても、聴き手の心に届かないんじゃないか?
心あるシンガーにとっては自明の理だろうけど、恥ずかしながらようやくそんなふうに思うようになった。
だから、けっこう長いことバンド活動をしてきた割には、歌える曲は限られてくる。
歌詞がうろ覚えだなんて、もってのほかだな。
おれは、これまで何をしてきたんだろう。

ディランのオリジナルヴァージョンと、カヴァーを三つ紹介してみる。
カヴァーは、ジミヘン、デイヴ・メイスン、ニール・ヤングのだ。
生み出された曲は、作り手の元を離れて、人類共通の財産になっていくんだと思う。
曲は、ある人が自身を表現しつつ他者とつながる美しい素材なんだな。


◆ Bob Dylan

http://youtu.be/-lRulrWFf1M


◆ Jimi Hendrix

http://youtu.be/JJx5626euOo


◆ Dave Mason

http://youtu.be/Zu_0h0tFemg


◆ Neil Young

http://youtu.be/IUT4Wt6cD0Q


“There must be some way out of here,” said the joker to the thief
“There’s too much confusion, I can’t get no relief
Businessmen, they drink my wine, plowmen dig my earth
None of them along the line know what any of it is worth”

“No reason to get excited,” the thief, he kindly spoke
“There are many here among us who feel that life is but a joke
But you and I, we’ve been through that, and this is not our fate
So let us not talk falsely now, the hour is getting late”

All along the watchtower, princes kept the view
While all the women came and went, barefoot servants, too
Outside in the distance a wildcat did growl
Two riders were approaching, the wind began to howl


“「ぬけだす道があるはずだ」と
ペテン師がドロボウにいった。”

“これはおれたちの運命じゃない
ウソをしゃべるのはよそう、夜がふけてきた。”

“見張塔からはずっと王子たちが見張っている。

とおくのほうでヤマネコがうなった。
ウマにのった男がふたり近づき、風がほえはじめた。”

和訳一部引用 「ボブ・ディラン全詩集 」 片桐ユズル 著


john wesley harding