詩とドラムスと絵のコラボレーション

詩の創作と朗読(楠 知幸) ⇒ ドラムスの即興演奏(山田明博)
詩を題材に絵を描く(大谷愛輪)


Scene 1
ノイジーな音が彼方から聴こえてくる
それはしだいに近づいてくる
それはしだいに大きくなってくる
おれはどこにいるんだ
立ってもいないし座ってもいない
その音はやがて耐え難くなり
心臓の鼓動にリンクする
ふいに体が揺れ始める
さっと目が覚めた
部屋がきしむ音がする
体も部屋もゆっくりと横に揺れている




Scene 2
ガッシャーン
硬質なものが割れる音がした
振り向くと、きみの手から二つ目の皿が放たれる
きみのお腹は丸くふくらみ
顔つきも以前より険しくなっている
きっと明確な理由などないんだろう
もしかしたらぼくの優しさが気に障るのか
苦痛のシェアなど できやしない
出会った頃のきみの笑顔がよみがえる
ガッシャーン
白い円盤が砕け散る
エイリアンとの交流は失敗かな




Scene 3
ドドーン ドドーン
耳に突き刺さる音は暴力だ
だが、それよりも不気味なのは
砲弾が空気を切り裂いて落下する音
どれほどの確率で、それの直撃をくらうのか
運とはなんだろう
この寒くぬかるんだ塹壕にいること自体
運があるとは言い難い
けどまてよ、まだ生きているのは運がいいってことかもな
ドドーン ドドーン
この音の持つ残酷さは
あったかい指令室で 一応眉をしかめながら
命令を下す奴には けっしてわからない




Scene 4
鳥の声が聞こえる
一つだけじゃない 何種類もの鳥だ
鳥の声が聞こえるうちは地球も大丈夫
そんな気がするんだよ
大地に直に眠る喜びを知ってるかい?
やっと出会えたきみに それを教えたくて
平日のキャンプに誘ったんだ
心が破けたのは一度や二度じゃない
もう人を愛するのはやめよう
なんて やけになってはみたものの
それでも誰かを求めていた
やっと出会えたきみは ぼくの腕枕で
穏やかな寝息をたてている
鳥の声が聞こえるうちは この幸せも続くだろう




Scene 5
アーヮヮヮヮヮヮヮヮ
アーヮヮヮヮヮヮヮヮ
馬上の仲間が雄叫びを放つ
数百騎の戦士が丘を駆け降りる
ライフルを撃ちながら
トマホークをかざしながら
ヒューン ヒューン
丘の下から死の使者が飛んでくる
それらのいくつかは 仲間たちの体を突き抜ける
後方に血と肉を噴出させながら
アーヮヮヮヮヮヮヮヮ
アーヮヮヮヮヮヮヮヮ
敵陣に突入すると あたりはこの世の地獄と化す
金髪の男がのけぞって倒れる
なぜ闘うのか 誰も答えは知らない




Scene 6
部屋に一人でいると 子どもたちの遊び声がする
風に乗って届く子どもの笑い声はいいもんだ
ワイワイワイ
ケラケラケラ
それはエナジーの塊で 世界を浄化してくれる
そんな宝物を毛嫌いする者がいるという
保育園からの声を騒音に感じて 苦情の電話
苦情を吟味せずに受け入れる 事なかれ主義
いずれにしても それは愛から遠い
愛から遠いんだよ
ワイワイワイ
ケラケラケラ
気に障ることもあるだろうさ
そんなときには こう考えてみたらいい
これは人生のリトマス試験紙だと
今が幸せなら 子どもの声は天使の声さ



Scene 7
ドックン ドックン ドックン ドックン
ドックン ドックン ドックン ドックン
そんなことあるもんかと思うかもな
でも、覚えているんだよ
母の子宮でまどろんでいた記憶
聞えてくる音がある
どっどっどっどっ
ドッドッドッドッ
規則正しくビートを刻んでる
全方向からやってくる安らぎの音色
何一つ欠けていない完璧な世界から
どうして出てきてしまったのか
ドックン ドックン ドックン ドックン
ドックン ドックン ドックン ドックン
ヘイ、そこのドラマー
きみの心音を聞かせてくれないか
取って置きのハート・ビートをさ