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書く 歌う 結ぶ

月別: 12月 2004 (1ページ / 2ページ)

無限空色 008

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今日の空。
煙突の建物は蔵の外観。
本来なら今夜、出雲の友人がオープンするライブハウスの柿落しで演奏する予定だったんやけど、工事が遅れて中止になってしもうた。
残念。
12/24のX’masイブには、地元でライブやるよ。
パーカスの娘の家族がやっているパスタハウスでのクリスマス・パーチーで。
もうイブに恋人と二人っきりでちゅうのは古いんじゃない? 
そんな楽しいことは、あえて他の日にやっていただくとして、どうかね、ここはひとつ島根まで足をのばして、わしらの演奏を聴きにこんかね? 
そんな一人で部屋にいないでさ。
って、いったい誰に向けてのメッセージなんやろ?

青春の日

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小夜が見渡すと、晴れた五月の空を背景に鯉のぼりがあちこちで泳いでいた。
高台にある老人ホームの玄関で彼女は胸をわくわくさせながら待っていた。
今日のために新調したデニムのスラックスをはき、若草色の薄手のジャンバーを身に着けていた。
首にはオレンジ色のスカーフが巻かれている。

約束の十時近くになると、遠くから風に乗ってエンジンの排気音が聞こえてきた。
その音がぐんぐん近づいてきたかと思うと、ホームの門から大きなオートバイが姿を現した。
きた、きた。小夜は曲がってしまった腰をできるだけ伸ばして、オートバイに向かって手を振った。
ドッ、ドッ、ドッ、ドッと下腹に響く音を発しながら、陽光を反射して銀色に輝く鉄の馬は小夜のそばまで来て停まった。

「こんにちわ、おばあちゃん」

サングラスを外しながら若者が笑いかけた。

彼は次郎という名で、町はずれにある電子機器の部品メーカーに勤めていた。
趣味でバンド活動をしており、昨年のホームのクリスマス会に慰問バンドとして出演した。
その時に何となく小夜と知り合い、いろんな話をするうちに次郎の生きがいであるオートバイの話題になった。
彼はその素晴らしさを小夜に語り聞かせた。
小夜にとっては全く未知の世界だった。

「わたしゃ、この歳になるまで乗ったことがないわ」
「おばあちゃん、乗っけてやろうか?」
「そうだねえ」
「乗るの怖いかな?」
「怖かないわよ。よっしゃ、次郎さん乗せてくれ」
「じゃあ年を越して暖かくなってきたら誘いに来るね」

二人はそんな約束をして別れたのだった。

次郎は積んできた予備のヘルメットを小夜に被らせ、手袋をはめるように言った。
そうして手を貸しながら、彼女をバックシートに座らせた。
小夜は少々緊張の面持ちである。
次郎もシートに跨った。
腰の曲がっている小夜は次郎の背中に身を預けるしかなく、両手を彼の腹部に回してからだを固定した。

「もっと楽にしてね。心配ないからさ。じゃ、行くよ」

次郎はスロットルを回してオートバイを発進させた。

小夜が怖がらないように、最初ゆっくりと運転する。
川に沿った県道をしばらく走っていると、小夜が興奮した声で言った。

「気持ちええなあ、次郎さん」
「そうでしょ」
「もっと若い時分に乗ってみたかったわ」
「若い頃に戻ったと想像してみたら?」
「そうしてみようかね」

若かりし日々は決して明るくはなかった。
そういう時代だった。
でも今日は私の青春の日だ。
小夜は両手に力を込めた。

無限空色 007

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仕事帰りにふと思い立って、今年の6月にアルバイトをしていた柿畑に行ってみた。
すでに収穫を終えた畑で柿の裸木たちが迎えてくれた。
初夏の眩しい日射しが蘇り、苦しかったそのときの気持を思い出した。
柿の木たちは、これから寒風の日々を耐え、来春の発芽に備えるだろう。
おれは思った。
裸木の並ぶ一見寂しげなこの光景こそ、四季の中で一番エネルギッシュなんじゃないかと。
地面の下で雌伏している膨大な豊かさを感じた。
冬に出逢った愛は、
春に開花し、
夏に躍動し、
秋に収穫される。

無限空色 006

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早朝の三日月です。
仕事に出かけようと車庫まで行くと、頭上に綺麗な三日月がかかっていました。
デイパックの中に入れてあるデジカメを取り出してワンショット。
地上には霜が降りており、やっと冬らしくなったなと思いました。
やはり酒造りには、ある程度の寒さが必要だから。
しかし、水道が凍るほどの日の仕事は、やはり辛いですね。
さて、出かけるとします。
みなさんも、いい一日でありますように。

わかれのことば

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出雲で出逢い
夏の燃える日射しの下
雪の冬
春の雨に打たれ
落ち葉を巻き上げて
フェリーに乗り
雄大な景色を切り裂き
足元で煙草を吸い
温泉とビール
背中に乳房の柔らかさ
寒さに歯をくいしばり
股間の灼熱地獄
古書店の庭に佇み
風に季節の変遷を見る
おまえは何も言わず静かに去っていった
思い出が残る

愛用のギター

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写真のギターは、現在バンドで使っております「Takamine Elite TW-80」ちゅうアコギin my roomでございます。
コンタクトピックアップ内蔵やから、PAにつないで音出しできまんねん。
そう、今夜はたのすいバンド練習日。
週末に出雲であるライブに向けてのリハであります。
今回から旧友ギタリストのアキラが参加するけん、ますますパワーアップの「Red Condition」←バンド名。
ほんまはフェンダーのテレキャスターが星野仙一(←意味不明やろ? そやろな)なんやけどな。
おれはリズムギタリストなんどす。
リードギターはよー弾かん。
けど、グルービーなコードワークでバンドをドライブさせるのはけっこう自信ありまんねん。
目指せキース・リチャードなんてね。
ま、歌いながら弾くから、必然的にリズムギターになるんやけどな。
いつかみなさまのお耳にかかれることを楽しみに、今夜も練習に出かけるわたくしであります。
チャオ!

ゴールデン・イーグル

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アルゼンチンの作家フリオ・コルタサルの「夜、あおむけにされて」という短編がある。

ヨーロッパのどこかの町でオートバイ事故を起こし、病院に担ぎ込まれた男が悪夢にうなされる。
その夢の中で彼は、アステカ族の花の戦(生け贄狩り)で捕まえられ、神殿の地下牢に閉じこめられている。
目覚めると彼は病院にいる。
しかし耐え難い睡魔によって再び眠りに落ちると、彼は地下牢から担ぎ出され、生け贄の儀式の行われる祭壇に横たえられていた。
そして彼は悟るのだ。
この世界こそが現実で、オートバイ事故を起こしたあの世界は夢だったのだと。
恐怖におののく彼に、石のナイフを持った神官が近づいてきた。

話の粗筋はこんなところだ。
ぼくはこの短編にとても魅せられて、自分も同じようなシチュエーションで書いてみようと思った。
で、できたのが下記の短編(千文字)である。
まあ、オリジナルの不気味さには到底及ばないが、ご一読いただければ幸いです。


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二年ぶりに帰省した雄二は、ふと思いついて母屋の屋根に登ってみた。
大学三年の夏のことだった。
幼い頃しばしばそうしたように彼は屋根の傾斜に横たわり、川向こうにある鎮守の森の上空に広がる夕焼けの輝きを眺めていた。
いつ見ても懐かしさを呼び起こす光景だった。
遙か昔に同じ空を見たような気がする。
子どもの頃もそう思ったが、大人になった今それは確信に近いものとなった。
俺はガキの頃から独りで屋根にいるのが好きだった。
雄二は当時のことを思い出していた。
ここは僕の居場所じゃない、と自分の周りの世界にいつも違和感を覚えていたっけ。

長老たちはテントの中に集まり話し合いを始めた。
ゴールデン・イーグルは草の上に胡座をかき目を閉じた。
どのような決定が下されようとそれに従う覚悟でいた。
彼は部族一の勇者だった。
その勇者が、どうしても避けられない事情で生け贄になろうとしていた。
長老たちを始め部族の皆がそれを望んではいなかった。
しかし勇者であるが故に、彼以外の適役は他にいなかったのである。
やがてテントから長老たちが現れ、ゴールデン・イーグルの前に歩み寄った。
彼らの目には深い悲しみがあった。
その目を見て、ゴールデン・イーグルは自らの運命を悟った。

雄二は目をつむったまま、黄昏どきの空気を胸いっぱい吸い込んだ。
夕飯の支度の匂いに混じって、かつて嗅いだことのあるような煙の匂いが漂ってきた。
草の焼ける匂いだと思った。
俺はなぜ夕焼け空に惹かれるのだろう。
あの空の向こうに自分の本来いるべき場所があるような気がする。
この世界での空しい日々はうんざりだ。
俺は早く帰りたい。
雄二の目に突然涙があふれた。

ゴールデン・イーグルは部族の皆と共に小高い丘に登った。
今まさに地平線に日が沈もうとしていた。
西の空一面に夕焼けがあった。
見たこともない鮮やかな血の色だった。
ゴールデン・イーグルは平たい岩の上に横たわり、静かに目を閉じた。
その周りを部族の者たちが取り囲んで祈り始めた。
一人の男が鋭いナイフを手にしてゴールデン・イーグルの側に立った。

雄二はなぜ自分が泣いているのかわからなかった。
ひとしきり泣いて目を開けると、夕焼けをバックに不思議な格好をした男がこちらを見下ろしていた。
辺りを見回すと、大勢の人間が大地にひざまずいて祈るようなしぐさをしていた。
草の焼ける匂いが静寂の中を漂ってきた。
その時、男の持つナイフが雄二の心臓めがけて突き立てられた。

Illustration (c) 2004 Food Rocker All rights reserved.

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