写真 : 野村ゆき
詩 : Tomo Kusunoki


 
バラナシからの列車がゴーラクプルに着いた
インドの駅の常で 乗客や物売りがホームにあふれている
駅舎の外に出ると リキシャの客引きが寄ってくる
バックパックを背負ったままスノウリ行きのバスを探す
スノウリはネパールとの国境の町だ
見つけたのは左右四席の狭いバスで 三時間ほどかかるらしい
発車後 一応の舗装路をときどきバウンドしながら進む
スノウリのバスターミナルに着いた
イミグレーションを探しながら少し歩く
目立たないオフィスなので 危うく見逃すところだった
インドの出国手続きを終え 歩いて国境を越える
そしてネパールのイミグレーションへ
ビザ費用を支払い パスポートに入国印を押してもらう
いよいよだ いよいよカトマンドゥに向かうのだ
ターミナルで切符を買う
バスはインドのTATA製だが けっこうなオンボロぶり
車内はすでに満席だった
荷物と共に屋根に上る
ここにもすでに先客あり
行商人と思われる中年の女性や 出稼ぎ帰りらしき若い男など
やがてバスは発車し 田園風景の中を進む
そしてしだいに高度を上げていく
山岳地帯に入ると数回の休憩があった
店に入ってチャイを頼む
素焼きのカップに満たされた熱く甘い液体
いささか疲れた体にしみ渡る
さらに高度を増すにつれて日が暮れてくる
バスの屋根でも寒くはなくて風が心地よい
赤く焼けた空が しだいに濃紺色へと移ろっていく
大きな峠を越えたバスはカトマンドゥ盆地へと下り始めた
ふいに 故郷の町から遠く離れた異国にいるんだと実感する
それもバスの屋根に乗っちゃったりして
おれはここで何をしているのか
見上げた天空に大きな柄杓が輝いている