写真 : 野村ゆき
詩 : Tomo Kusunoki


 
手術衣に着替えて車椅子に乗った
看護師が付き添って特別な通路を進む
外科エリアの扉の前に家族らが待っていた
頑張ってくるよと片手を上げて中に入る
両側にいくつかの手術室が並んでいる
該当の部屋にはマスクを付けたスタッフがずらりと並んでいた
手術台に上がる
心臓の鼓動はラウドで脈拍はハイビート
麻酔は酸素マスクみたいな器具からガスが出るものとばかり思い込んでいたが
実際には点滴でだった
だから身構えることもなく いつの間にか眠りに落ちていた
遠くから声が聞こえてきた
体を揺すられた気がした
薄目を開けると ぼんやりとした視界
しだいに焦点が合ってくる
全身麻酔中に夢を見ることはない
だから手術時間に自分はいない
目覚めて初めて時間の経過を知る
目覚めなければ眠っていたことに気づかない
死とは目覚めることのない眠りのこと
そう実感すると眠るのが怖くなるか
あるいは それもよかろうと思えるか
人は眠らねば生きれない