写真 : 野村ゆき
詩 : Tomo Kusunoki


 
森を抜けると少し開けた場所に小さな平屋があった
水をもらうためにドアをノックする
初老の女性が迎えてくれた
素早く室内を見回し 気配を嗅ぎ取る
今回の斥候任務は三人体制だが 少し前に三方に別れた
冷たいものはいかがですかと勧められる
気の緩みは命取りになるが 喉の渇きは耐え難かった
一杯だけならと受けることに
椅子に座って待っていると
テーブルにガラスポットとカップが置かれた
透明なポット内に茶色の液体と白い氷と緑のハーブが見える
女性は水滴の付いたポットからカップに液体を注ぐ
おれはカップを持ってゆっくりと口に運んだ
一気に飲み干したいところだが 女性の上品さの手前 そうしなかった
口の中が冷たい幸福感で満たされる
できるだけ急がずに飲み干すと カップをソーサーに戻した
もう一杯いかがですか
女性の声にかぶさるように かすかな地響きが聞こえてきた
任務に戻らねばならない
おれは礼を言うと外に出た
さっきより地響きは大きくなっている
複数のキャタピラが近づいていると思った