写真 : 野村ゆき
詩 : Tomo Kusunoki


 
あの人の誕生日パーティに招かれた
雨の一日だった
気の利いた贈り物を買う持ち合わせが無かった
電車の駅に向けて歩いていると
小ぢんまりした一戸建ての玄関脇に紫陽花が咲いていた
雨滴を湛えた青紫の花弁が瑞々しかった
一瞬考えてから二つ三つ手折り
L.L.Beanのトートバッグに入れた
盗んだ花など受け取れないわと突き返されるのか
あるいは そうでないのか
大地に根を下ろした花
摘まれて花屋の店先にある花
盗まれてバッグの中で振れる花
紫陽花の花は花じゃないと知ったのは
その日から長い時を経たある日のことだった