写真 : 野村ゆき
詩 : Tomo Kusunoki


 
頭上からメインローターが回転する音が降ってくる
ジャングル戦用の装備を身にまとい待機している
まもなく降下が始まるから みんな緊張の面持ちだ
ぼくの心臓はいまにも爆発しそう
地上に降り立った瞬間からミッションが始まる
死の恐怖を払拭するだけのアドレナリンが要る
はたしてぼくにそれが出せるかどうか
上下の歯がガチガチと鳴り 下着を熱いものが濡らすんじゃないか
熱さはすぐに冷たさと不快さに変わる
敵に遭遇したら撃たねばならない 弾が尽きたら刺さねばならない
殺さねば殺される 自分は鬼になれるかな
ホバリングしている数機が順番に降下していく
着地点が狭いため一斉の降下ができないんだ
機体の底部が開いた
下方に位置する機体のローターの回転が見えた
ぼくの脳裏にある情景がうかぶ
それは写真展で見かけた一枚の写真
ぼやけた緑を背景に浮かび上がる二つの白い花
二十数枚の細長い花弁と中央にある黄色い柱頭
それらが回転するローターに重なって見えた
自機は地上に迫りロープが降ろされる
列の前の者から次々と下っていく ぼくの番が近づいてくる
そのとき
被弾して地面に倒れ薄れ行く視界の片隅に
あの白い花が咲いている幻を視た