一瞬は永遠

moment equal eternity

カテゴリー: 写真と詩と (Page 2 of 4)

写真と詩と 062


Yuki Nomura

「苦痛」

苦痛が窓辺の席に座っている
止むことのない痛みは心身を消耗させる
我が痛みを知って他者の痛みを知れというが
それは あくまで想像にすぎない
自分にしか この痛みはわからないという孤独感
わかるよーと言われても わからんくせにと思う
わかろうとしてくれる気持ちは嬉しいけれど
ふっと痛みが和らぐと すっと眠りに落ちていけるだろう
それはまるで あのときのように
それはまるで とっておきの楽しみ
苦痛が窓辺の席から立ち上がる
おまえはこれから どこに行くのか

写真と詩と 061


Yuki Nomura

「堕ちた言葉」

本来内包する意味の輝きが薄れてしまった言葉たち
耳にすると 目にすると 虚しさを覚える言葉たち
おまえらに責任はないぜ
汚れたマントを着せたのは俺たちだから
そういうときには どうすればいいんだろう
なにか他の 的を得た気の利いた素敵な言い方を発明するか
言葉は記号であり音だけれども
人間の脳内で あらゆるものとして現れる
言葉で言い表せないこともあるにはあるが
言い表そうと努めることは続けたいんだ
堕天使は天上から追われ地上でさまよう
堕ちた言葉は いったん地中で雌伏し
野にある花が咲くように ふたたび雄飛する

写真と詩と 060


Yuki Nomura

「客観視」

自分の心や体の動きを常に観察することは可能か
今 嫌な気分になっているということはわかる
今 喜んでいるなと わざわざ思うこともないような
幸せな状態がデフォルトであればいいな

自分探しの旅に出た
霧が流れる石畳の街路をさまよい
港の屋台でフィッシュ・アンド・チップスを食べた
知り合った若いカップルに誘われてパーティーに行った
古い大きな屋敷の広い居間に入ると
こちらに背を向けて 男が椅子に座っている
見覚えがあるようなシルエット
心惹かれて近づくと 男が振り返る

自分の欲望や虚無感の大きさを常に観察することは可能か
今 最低な気分になっているということはわかる
今 最高だなと わざわざ思うこともないような
幸せな状態がデフォルトであればいいな

写真と詩と 059


Yuki Nomura

「恐怖と愛」

夜半に目覚めて 用を足しに起きて
また眠るのか そのまま起きてしまうのか
机に座って ふと考える
恐怖というものは身を守る本能なのは間違いないが
それを凌ぐものは やはり愛しかあるまいと思う
自己保身は恐怖から来る
依存もそうだ
無理に愛することはない
愛せるものだけ愛せばよい
そのとき恐怖はそばにいない
辺りが明るくなってきた
窓辺に下がるクロスが見える
縦の線と横の線
どちらが恐怖でどちらが愛だろうね

写真と詩と 058


Yuki Nomura

「小さなプリンセス」

到着ゲートの前で待っていると
少し懐かしい顔がこちらに向けて駆けてくる
たったったった
僕に飛びつくと ぎゅっと抱きつく
やがてプリンセスは成長し 王子の胸に飛び込むだろう
マドリードに到着した僕は バルでナースと知り合う
彼女は自宅に招いてくれ フラメンコを踊る
宿の朝食で供されるカフェ・コン・レチェとビスケットに人生の明るい面を見る
病は突然の来訪者だ それも歓迎せざる
水と食料を少し買い込んで 抗生物質を飲み 三日三晩眠った
夢と現を行ったり来たり
夢に来訪者があった 嬉しかったので忘れることはない
プリンセスは美しく花開いていた
滑走路を見下ろす草地に僕を誘い 並んで歩きながら遠くを指差す
あそこに三本の木が見えるでしょ?
手前の大きな木の向こうの空に薄い虹がかかっているのよ
あなたには見えるかしら

写真と詩と 057


Yuki Nomura

「そのとき」

穏やかな海面を二艘の船が往く
一艘は漁船で もう一艘は釣り船だ
ところどころが緑がかった美しい青が水平線まで広がっている
上空には雲がたなびき 爽やかな風がそよそよと吹く
平和な光景とは まさにこれじゃないかと私は思う
ようやく物事がうまく運び始めた
なぜなのか よくわからない
明け方の空に輝く月を見たからなのか
あの人の愚痴を聞いてあげたからなのか
ともかく人生が前に歩き始めた
海の向こうでは二つの国が一つになるとかならないとか
ジョーカーはクイーンを誘惑する
キングは決断を下さねばならない
それが彼の役目だから
休日の午後 海に来てよかった
明日からまた頑張ろう
そのとき
水平線の向こうに閃光が走り 海と空がオレンジ色に染まった

写真と詩と 056


Yuki Nomura

「人のため」

笹の葉が水滴を乗っけている
せっかく通りかかったのだから しばらく遊んでいけば?
降る雨に 笹はそう話しかけたのかもしれない
雨は丸まって 緑の葉の上でコロコロしている
小さな水滴も少し大きな水滴も 形は違えど同じ水だ
触れあえば一つになって転がっていく
人の心も そうならいいのに
いつも人のために いろいろやっている
なのになぜ自分は悪く言われるのか
そんな嘆きを聞いたことがある
人のためとは何だろう
便利さを与えることじゃなさそうだ
そもそも与えることなんて できやしない
人は人を見て勝手に学ぶんだ
そしてあらかじめ自分の中にある答えを再確認する
だから嘆く君よ
君は君で勝手に幸せであればいい
それが一番 人のためになる

写真と詩と 055


Yuki Nomura

「嫉妬」

ほとんどの人が何らかの嫉妬をする
対象は人だ
動物や植物にはしないだろう
恋愛関係の第三者に 才能に
経済的余裕に 地位に
容貌に 人気に
ふだんは穏やかな心の水面に嫉妬の小石が投げ込まれる
投げ込むのは自分自身だ
波紋はみるみる広がって心のかたちを変えていく
嫉妬は自己愛から生じる
他者への愛からではない
それを善悪で論じてもナンセンス
そういう心の状態があるだけさ
ただ お願いだから こう言ってほしい
わたしはわたしを愛しているから嫉妬する あなたでなく
なかなかに清々しいではないか

写真と詩と 054


Yuki Nomura

「林檎」

一口に林檎といっても こんなに種類がある
ふじ レッドデリシャス ゴールデンデリシャス
王林 紅玉 陸奥
国光 津軽 千秋
アルプス乙女 姫小町 世界一
印度 旭 ジョナゴールド
祝 フラワーオブケント シナノスイート
シナノゴール 秋映 ぐんま名月
陽光 紅の夢 茜
北上 金星 昂林
スターキング 北斗 黄王
シナノレッド 紅ロマン 星の金貨
トキ さんさ レッドゴールド
姫神 ハックナイン グラニースミス
ジョナサン カメオ ブレナムオレンジ
ジェイムスグリーブアップル ノビーラセット シナノリップ
宇宙に多種はあたりまえだが
多種の中の一種 一種の中のワン・アンド・オンリーなものはある
たとえば?
たとえば ジョン・レノンのシャウト!

写真と詩と 053


Yuki Nomura

「ネコ曰く」

なんでも やってみなくちゃわからない
体験を重ねると やらなくても推察できるようになる
ある程度はな
でも 推察は推察
やってみなくちゃ本当にはわからない
結果 うまくいくこともあるし ダメージを受けることも
それでも やったからこそ見える境地がある
自分で目標を決めて 精進し 達成したとき
おまえはまるで世界の王

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