一瞬は永遠

moment equal eternity

カテゴリー: 写真と詩と (Page 2 of 6)

写真と詩と 081


Yuki Nomura

「キス」

赤い林檎は赤い唇
赤い林檎はストーンズのベロマーク
どちらにしてもキスしたくなる
突然で自然なキスに祝福を
頼りなげな果梗が実と枝を結んでいる
もぎ取ってどうするんだ?
かじって食べてしまうのか
ウィリアム・テルに渡すのか
それともジャムにしちまうか
それより そのまま残しておいて
赤い唇にキスしよう

写真と詩と 080


Yuki Nomura

「自分の中の異性」

理想の異性は自分の中にいる
そんな話を聞いたことがある
ナルシシズムではなく対象愛だが
理想形が身中に潜んでいるという
かつて夢に出てきた顔がある
覚えがないけど懐かしい顔だった
柔らかなまなざし 穏やかなほほえみ
あなたがいれば わたしは大丈夫
ふいに風が吹いて水に映った空がゆれるように
ふいに気づいた自分の中の異性に
わたしのこころも ゆれるゆれる

写真と詩と 079


Yuki Nomura

「一人在ること」

友人がいない 異性と縁がない ペットも癒しにならない
ただ仕事して 日々老いていく
そんな人は不幸だろうか
友人がいなくても 異性と縁がなくても ペットがいなくても
仕事があるだけ有り難く 日々の無事に感謝している
そんな人を不幸と決めつけるな
その人はあなたじゃない
もしもわたしが魔法使いなら 幸せを見つける力を贈りたい
自分で見い出した幸せこそが 限りなく真理に近いから
一人在ることは宇宙の喜び
一人在ることは自由の輝き

写真と詩と 078


Yuki Nomura

「エイリアン」

人間が基準ではない
宇宙に基準などない
知的生命体が存在するとしても
想像できない姿で現れたら
たぶん認識できないだろう
人間の想像力は一瞬で宇宙の果てに飛ぶけれど
想像できないものは無いと同じだ
目の前にある鮮やかな緑の物体
キミはエイリアンなのかい?

写真と詩と 077


Yuki Nomura

「曼珠沙華」

ある日の明け方
普段は目覚めることのない時間
自然と目が開き 自然と起き上がっていた
不思議な感覚が身中から立ち上がり
外に出なくてはと思った
遠くの山の稜線が後光に浮かんでいる
見るともなしに見ていると 上空が赤く染まった
朝焼けかなと思ったが そうではなかった
赤い空が落ちてきたからだ
驚きつつ見ていると
幽かな音を立てながら次々と着地するものがある
無数の赤い花だった
天界に咲く血色の花々の落下
吉兆に違いなかった

写真と詩と 076


Yuki Nomura

「かわゆくてたまらん」

この世に かわゆくてたまらん存在は多々あれど
猫も その一つ
人と同じでルックスの違いはあれど
おおむね愛すべき柔らかさだ
媚を見せずに魅了するとは大したやつ
棚の上のおまえ
寝ているのか 寛いでいるのか 
それとも 時間の最先端を飛んでいるのか
その姿は わたしに幸せをくれる

写真と詩と 075


Yuki Nomura

「空からの光」

理想の眩しさに目がくらむ隙に
いつの間にか辺りに闇が立ち込める
美辞麗句に潜むトゲに気をつけろ
厚い雲が割れて現れた青空がそう叫ぶ

きみが暮らす町を列車で通りかかった
沿線に咲くコスモスが風にゆれる
きみの息づかいを感じた気がして
ぼくは幸せだった

そうとは気づかずに手を貸している
きみの愛する人たちが灰色の海に入っていくことに
どちらが正しいということでもないのだろう
答えというものがあるのなら それは事実そのものだ

長いこと側にいたのに きみはただの風景だった
なぜ今になって輝き始めたのか
それはたぶん それはもしかして それはきっと
厚い雲が割れて現れた空からの光のせいだ

写真と詩と 074


Yuki Nomura

「薔薇」

切り花はキライ
花束の代わりに薔薇園がほしい
いろいろな色が咲き乱れているような
手入れはあなたがしてね
わたしは回廊を歩いて青空を背景に見惚れよう
赤い花と緑の葉が鮮やかに踊る
ほんとはそんなもの欲しくはない
わたしが欲しいのは あなたから流れ出る血
生首を捧げ持つサロメのように
したたる血を透明な薔薇の根本に注ぐだろう
血を吸った根は燃え上がり
花を赤く染めるだろう
その薔薇は切られ 束ねられ
土曜日の朝 あなたの元に届く
真っ赤な薔薇は愛のしるし

写真と詩と 073


Yuki Nomura

「筋肉」

筋肉ってのは自分の意志で育てることができる
盛り上がった筋肉は まさに意志が現実に投影されている証だ
夢中になって体を動かしていると 結果的に美しい彫像になる
自然が生み出す血の通った彫像だ
彼の場合は後者だろう
二十年という歳月は飛ぶ矢のごとく過ぎゆくが
稽古の蓄積から生じる信じるに足るもの
それは筋肉
それが表すものは精神の崇高さだ
それを目にするとき
人は驚嘆すると同時に 生きる力が身中にみなぎるのだ

写真と詩と 072


Yuki Nomura

「雨」

雨には二面性がある
ときには恵みの雨と呼ばれ
ときには凶暴な怪物にもなる
ジョン・レノンはレインを作曲し
ロニー・レインは多発性硬化症を患った
顔に降りかかる雨が心地よいか不快かによって きみの幸福度を計れるから やってみな
雨は循環の象徴でもある
地上に舞い降りた雨は川となり海となる
そしてふたたび上昇し大空を彩る
雨よ おまえは自由なやつ
おまえが降るのは自然なこと
人間の英知で おまえの凶暴さは回避できるさ
相合い傘のカップルが通り過ぎる
そのとき雨は恋のキューピットだね

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