Yuki Nomura

「曼珠沙華」

ある日の明け方
普段は目覚めることのない時間
自然と目が開き 自然と起き上がっていた
不思議な感覚が身中から立ち上がり
外に出なくてはと思った
遠くの山の稜線が後光に浮かんでいる
見るともなしに見ていると 上空が赤く染まった
朝焼けかなと思ったが そうではなかった
赤い空が落ちてきたからだ
驚きつつ見ていると
幽かな音を立てながら次々と着地するものがある
無数の赤い花だった
天界に咲く血色の花々の落下
吉兆に違いなかった