Yuki Nomura

「来し方」

同い年の旧友が自分の山で収穫した栗を持ってきてくれた
珈琲を飲みながら昔話をする
竹橋のパレスサイドビル内にあった中華料理店でのアルバイト
その軽井沢支店と近所の池のこと
共通の女友達との思い出
銀座の山野楽器で買ったツェッペリンの新譜
廃墟の壁に薪を背負った老人の絵が掛かっているジャケット
彼が自分の会社を設立するまでの詳細は今回初めて聞いた
47年間のエピソードが4時間に収まるはずもないが
こうして改めて語る機会は貴重だ
おれはインタビュアーとして けっこうイケてる
ある程度長く生きてくると 人生は淘汰されて
一本の刈り残された植物になる
その綿毛が風に乗って散るとき
彼は来し方の思い出を胸に旅立つのだ