Yuki Nomura

「小さなプリンセス」

到着ゲートの前で待っていると
少し懐かしい顔がこちらに向けて駆けてくる
たったったった
僕に飛びつくと ぎゅっと抱きつく
やがてプリンセスは成長し 王子の胸に飛び込むだろう
マドリードに到着した僕は バルでナースと知り合う
彼女は自宅に招いてくれ フラメンコを踊る
宿の朝食で供されるカフェ・コン・レチェとビスケットに人生の明るい面を見る
病は突然の来訪者だ それも歓迎せざる
水と食料を少し買い込んで 抗生物質を飲み 三日三晩眠った
夢と現を行ったり来たり
夢に来訪者があった 嬉しかったので忘れることはない
プリンセスは美しく花開いていた
滑走路を見下ろす草地に僕を誘い 並んで歩きながら遠くを指差す
あそこに三本の木が見えるでしょ?
手前の大きな木の向こうの空に薄い虹がかかっているのよ
あなたには見えるかしら