益田市を一流の田舎まちにするための提案
一流とは、辞書を紐解くと、その分野での第一等の地位、他とは違う独特の流儀、などとあります。この微妙に異なる意味を合体させて我が益田市に当てはめると、他の地方自治体とは一味違うオーラを放つことによって結果的に地方の先進的な存在となる、というフレーズが浮かんできます。
では、そういった独自のものを身に付ける有効な手段とは何でしょうか? 私は、文化の活用こそが最も効果的だと考えます。
文化とは、広義には人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体であり、狭義には哲学・芸術・科学・宗教などの精神的活動、およびその所産ということになります。
よく言われるところの、地域における文化活用の対象としては、歴史的遺産や郷土芸能、伝統工芸などが挙げられていますが、これらに加えて自然の景観や町並みの風景も文化と呼んでいいと思うのです。なぜなら、家々や街路などの人工物だけでなく、ほとんどの自然も、何らかの形で人間の手と視線による影響を受けているからです。さらには、それらの要素をベースとしながら暮らしている人々の意識こそ文化なんだと思います。
さて、文化というものを具体的に、どう活用していけばいいのか、という問いに対する私なりの提案をしてみます。
まず、益田市役所に一つのセクションを設けます。名称は仮に「文化活用推進室」としましょう。
目的は三つ、
①この地の文化を底上げして、外部の者に訪れてみたい、住んでみたいと思ってもらえるような魅力ある地域にすること、
②文化を活用することで人を呼び込み、地域経済を活性化すること、
③そしてなにより、市民が郷土に対する愛と誇りを持てるようになる一助になることです。
次に、文化活用推進室スタッフの業務について記してみます。
まずは、益田市および近郊で文化活動をしている個人および団体のキーマンと接触を持ち、信頼関係を築きます。この文化活動には音楽、美術、文芸、演劇、陶芸、郷土芸能、伝統工芸など様々なジャンルが入ります。そして信頼関係に基づいたネットワークを構築し、各ジャンル同士の交流を図ったり、いろいろな提言をいただいたり、イベントの際の協力をお願いしたりします。
それから、文化の底上げの方策を立てることも大切な業務です。グラントワや市立図書館とも連携しながら、市民がコンサート、美術鑑賞、文化講演会など本物の空間芸術・時間芸術・総合芸術に触れる機会を設けていきます。また鑑賞し味わうだけでなく、自分たちの手で演奏したり創作したりして楽しむ人が増えるように、各分野のエキスパートによるクリニックを行います。在郷の優秀な講師の発掘のみならず、全国的に活躍している郷土出身者にも協力をお願いしていきます。
このことに関連しますが、益田市出身の文化人をきちんと顕彰していくことは大切だと思います。こういう分野で活躍しているこういう人がいると広く市民に紹介することで、在郷者は誇りを感じ、文化人たちは故郷に対する絆を深めることになるのではないでしょうか。そのことが両者の交流を生み、益田の文化の底上げにつながるものと信じます。
三つ目の業務は、地域経済の活性化に結びつく文化の活用方法を考案し実行することです。地域経済が潤うには、地域内でお金が循環すること、外部から訪れた人がお金を落としてくれること、そして何らかの事業資金が流入することなどが必要だと思います。文化的に活気があり魅力がある所には、必ず人が集まってきます(この文化の中には景観や住民の意識も含まれます)。集まってきた人々が各々の楽しみを味わえるような心遣いを幅広く用意せねばなりませんね。
人間には外界の状態を認識する五感がありますが、見えたり聞こえたりしなくても感じる第六感とも言える感覚もあります。ある町に着いて、空港や駅から、あるいは車から一歩踏み出したときに感じる心地よさは、その町の文化が醸し出す心地よさではないでしょうか。そんな場所を訪れた人は、きっと癒されたり元気になったりすることでしょう。
私は、我が益田市こそ、そういった町になる可能性に満ちていると思うのです。いや、今だって充分に魅力的ではありますが、一流の田舎まちを目指すのであれば、さらなる工夫と飛躍が必須です。そのためには、行政自らがビジョンを示し、汗をかきながら、市民の理解と協力を得て事を成すべきだと思います。
幸いなことに益田市は、志の高い有能なリーダーを擁しています。時代が大きく変わろうとしている今こそ、愛する益田市を、住んで楽しい一流の田舎まちにしていく好機だと思います。私たち市民や市役所職員、そして市議会議員が心を一つに合わせ、リーダーを信じて支えていけば、夢は必ずや実現するものと確信しています。