和菓子の素材たち / 香りや工夫の素材
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2008年に放映されたテレビドラマで好評を博したものといえば、NHKの大河ドラマ「篤姫」を挙げられる方が多いのではないでしょうか? 豪華な出演者たち、とりわけ主役を演じた宮崎あおいさんの魅力(演技力)に負うところ大かもしれませんが、視点を変えてみると、一つの番組を創り上げるために必要な様々な力、特に脚本の力量が優れていたからとも言えると思います。
このドラマの主題の一つとして天命に従うということがあるように思われますが、言い方を変えると、各々の役割を生きるということになるでしょうか?
和菓子の世界にも、このことは当てはまります。仮に餡とそれを包む皮を主役とした場合、それのみでは多様性が生まれません。そこでプラスアルファ的な素材が必要になってきます。
今回は和菓子におけるそういった素材をご紹介します。一口ほおばるときに、彼らの役割を思い浮かべつつ味わっていただければ幸いです。
まずは香りの素材から。
その独特な香りが郷愁をさそう柚子は「柚子餅」「花うす紅(はなうすべに)」で使われています。抹茶は「鴎外」や「むしどら・抹茶」に、青海苔は「ひとつはる」と「麩まんじゅう」に、甘い芳香のあるシナモンは和三盆糖をいろいろな形に打った落雁などの「打ちもの」に、それぞれ色と香を添えています。さらには、香りに分類するか迷うところですが、きな粉は「あやめ餅」や「和良比餅(わらびもち)」にまぶされており、バリエーションとして黒豆のきな粉「黒豆きなこ」、青きな粉「うぐいす餅」があります。
続いて工夫の素材について。
栗は最も出番が多く、「花游菓」「栗蒸し羊羹」「栗入り羊羹」「栗きんとん」「栗の大福」で使われています。そして杏が「花游菓(白餡)」で、胡桃が「くるみ(胡桃入りむしどら)」で、梅が「みあん梅」で個性を発揮しています。その他には、よもぎによる「もぎの大福」「あやめ餅」と、苺による「いちごの大福」、変わり種として、ごぼうによる「葩餅(はなびらもち)」があります。豆たちも負けてはいません。青えんどう「青えんどうの大福」、枝豆「豆の大福」、黒豆「豆の大福」、鹿の子豆「花うす紅(はなうすべに)」という具合に魅力を発揮しています。最後に葉物ですが、「椿餅」は椿の葉で、「さくら餅」は桜の葉で、「柏餅」は柏の葉で、「ちまき」は笹の葉で包まれています。
こうして列挙すると、ある思いが脳裏に浮かびます。それは、そもそも主役とは何かということ。見方を変えると、餡と皮が支える側で、+α的な素材が主な役割を演じているのかもしれません。あるいは、こうも言えるでしょう。つまり、主役も脇役もなく、ただ役割がそこにあるだけだと。
○いちごの大福
思わずそっと触れたくなる柔らかな生地に、津和野近郊で採れたての瑞々しい苺がくるまっています。美味しさの秘密は、あっさりした甘さの白あんと、杵つき餅ミックスの求肥、そして苺の酸味の三重奏です。
○鴎外
高級抹茶をふんだんに使った餡が特色のこの焼き菓子は、文豪森鴎外にちなんで命名されました。控えめな大きさは、お茶菓子としても最適です。白い包みをほどき、小麦色の生地を割ると、そこには上品な深緑が。
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