和菓子の素材たち / 豆


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あなたにとって、なくてはならないものとは何でしょう。空気? お金? それとも愛? みんな必要だと言われればそうなのですが、敢えて一つ選ぶとすれば──。うーん、難しいですよね。

では、和菓子にとっての、なくてはならないものとは? これまた色々な答えが返ってきそうですが、おそらくほとんどの人が餡を挙げるのではないでしょうか。

餡の材料には、栗・カボチャ・味噌などもありますが、一番使われているのは、やはり小豆です。小豆は一般には「あずき」と読みますが、私たちの業界では「しょうず」と呼んでいます。そのいわれは、大豆に対してそう呼ばれたなど諸説あるようです。

当店で主に使っている小豆を幾つかご紹介しますと、まずは十勝産の雅(みやび)という北海道小豆で、きめが細かく風味豊か、そして十分な収穫量のため、年間を通じて入手できる利点があります。この豆を使ったこし餡で「源氏巻」や「麩まんじゅう」「柚子餅」などができます。

余談ですが、白豆の一種である福白金時豆も同じく北海道産で、「ふくしろ」という白いつぶ餡のどら焼きや、大福豆と混ぜて抹茶こし餡の「鴎外」を作ります。

次にご紹介するのは、丹波(京都~兵庫)産の丹波大納言です。この小豆は比較的大粒で、こくのある濃厚な味わい、皮も薄くて、つぶ餡に適した品種です。「花游菓」と「上生菓子」に、この丹波大納言を使っています。

三つ目は、備中(岡山)産の赤小豆です。品種改良されたこの豆は味も良く、他の小豆と比べて赤色が増しています。赤小豆、砂糖、寒天だけで作られる当店の銘菓「鯉の里」の独特な赤味は、この豆でしか出せない色合いです。

赤小豆から作るこし餡を使った他の製品としては「本練り羊羹」「水ようかん」などがあります。

最後は備中大納言で、丹波大納言同様に皮が柔らかく、口の中で呉(豆の中身)と絶妙に混ざり合います。この豆で作ったつぶ餡が「むしどら」「角最中」「花茜」などに収まっています。

餡の材料になる豆の種類としては、小豆の他に、前に挙げた福白金時や大福、白丸などの白豆があり、白丸豆からは「いちごの大福」や「栗の大福」の白餡を作ります。

さて、前述のように当店では、つぶ餡とこし餡で使う豆が違います。つぶ餡は丸ごとの豆を味わってほしい、こし餡はまろやかさを楽しんでほしい、そんな願いを込めて豆を選んでいます。

和菓子になくてはならない餡ですが、単独で輝くのではなく、皮や形や色たちと共に、更なるおいしさを創り上げているのが素敵ですね。

○本練り羊羹
一番人気の鯉の里と同じ製法で作られる逸品です。丁寧な包装をほどくと、艶やかな夜色の羊羹が現れます。赤みがかった肌、上品な歯ごたえ、一口ごとに、あっさり且つ深みのある甘さと喉ごしに魅せられます。

○花游菓・栗
丹波大納言小豆で作るつぶ餡と栗をパイ皮で包み、焼き上げました。ほのかに香るバターと、しっとりした餡の絶妙な味わい。餡のおいしさを再発見できる、和と洋、伝統とモダンが融合した一つの成果です。

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