ステーキ

母を病院の定期検診に連れて行った帰りの車中で、父が亡くなった気がしないと母が言う。
「夕方になると、書斎から仏壇に戻りんさいと言うてやる」
「ああ、夜はそこにいるみたいじゃね。今夜は好物だったステーキでも供えようか」
それで夕食は、普段は食べない肉料理とビールになった。この世にいないだけで、父は今もいる。


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