2006
4
11
遠くて近い声
諸事情から疎遠になっていた年子の妹と二十年ぶりに電話で話した。父の体の具合を報告がてらだったが、まるで三日ぶりの会話のように淡々と、且つその背後にある七千日余りの時の流れを感じながら話した。声は少しも変わっていなかった。離れていても、お互い幸せに生きることで良しとしよう。そう言い合って電話を切った。
諸事情から疎遠になっていた年子の妹と二十年ぶりに電話で話した。父の体の具合を報告がてらだったが、まるで三日ぶりの会話のように淡々と、且つその背後にある七千日余りの時の流れを感じながら話した。声は少しも変わっていなかった。離れていても、お互い幸せに生きることで良しとしよう。そう言い合って電話を切った。
島病院横の路地に立って上空を見上げたとき、60年前の出来事を物凄くリアルに感じて心が震えたことを思い出す。地球は宇宙空間を飛んでいるから、空間的にも時間的にも同一とは言えないが、その場所が持つ固有の記憶みたいなものが、おまえがここにいたかもしれないじゃないか、と告げる。歴史に全身を舐められる瞬間だ。
朝日新聞社のサイトにあった「作家に聞こう」の中で、伊集院静がこう言っていた。
『最初に賭けなさい。大事なことは、先に稼いでから賭けるようなことをしなさんな、ということです。金のあるところから賭ける人と、ないところから賭ける人は、根本的に生き物の種類が違う。』
賭博に限らず、賭けるとは後者のことだと思う。